最近の家計収支

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これを読んでくださる皆さんは、家計についてどのようにお考えでしょうか。
友人同士、あるいは同僚とでさえ、収入の話題はタブーになっていることが多く、
良い節約術がないかと悩んでいても、フリーかつオープンに、しかも建設的に相談できる場はあまりありません。

総務省 統計局・政策統括官(統計基準担当)・統計研修所のサイトに、統計局による家計調査の結果に基づいて書かれた『家計簿からみたファミリーライフ』という記事があります。
今回は、そのうち「第1章 最近の家計収支」を読みながら、出来そうな節約や心構えについて考えてみたいと思います。

「1. 家計の収入と支出」を読む

「第1章 最近の家計収支」は2項目に分かれています。
最初は「1. 家計の収入と支出」と題して、勤労者世帯(いわゆるサラリーマン世帯)の1か月の平均収入、支出とそれぞれの内訳が記載されています。
それによれば、平成23年の勤労者世帯(いわゆるサラリーマン世帯)の1か月の平均収入(実収入)は,1世帯当たり51万円となっています。
世帯人員の平均は3.42人、有業人員は1.66人、世帯主の年齢は47.3歳とされ、
実収入の内訳は世帯主収入の他に、配偶者の収入、他の世帯員収入、その他となっています。このうち世帯主の収入は41万円で,実収入の80.3%を占めています。
実収入のうち、17.6%が、非消費支出です。非消費支出は、税金や社会保険料など世帯の自由にならない支出のことです。残りの82.4%が、消費支出です。消費支出は、可処分所得とも呼ばれますが、所謂「手取り収入」のことです。

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平成23年の勤労者世帯の1か月平均の可処分所得は42万1千円、そのうち食費や光熱費、水道費、通信費などにかかる生活費は30万9千円で、可処分所得の73.4%を占めているそうです。生活費の内訳は、パーセンテージで、食糧22.2%、住居7.0%、光熱・水道7.0%、家具・家事用品3.4%、被服及び履物4.2%、保健医療3.5%、交通・通信14.7%、教育6.0%、教養娯楽10.1%、その他21.8%となっています。
可処分所得から生活費を差し引いた分は、預貯金や生命保険の掛け金のほか住宅ローンなどの借金の返済などに充てられています。

収支の目標を立てる

言うまでもなく、このデータは平均ですので、あなたの年齢や世帯人員の構成によって活用方法は異なってきます。
例えば、あなたが20代の独身者で1人暮らしをしている方なら、投資などをしていない限り、実収入はあなた自身のお給料のみでしょうし、額もずっと少ないでしょう。また、可処分所得に占める生活費の割合はより多く、貯蓄などに充てられる額はより少ないと思います。
さらに同じ20代で親元に居る場合でも、この平均のデータとはずれがあるでしょう。

しかし、いずれの場合も参考になる部分はあります。
まず、実収入に占める非消費支出の割合です。これは、2割前後の人が殆どだと思います。
納税は国民の義務ですので、憲法で保障された権利を守るためにも大切な支出です。負担の割合については様々な論がありますが、他国と比べて高い税負担率とは言えないでしょう。
今後、この税負担についての枠組みや割合も変わるかもしれませんが、現時点では、実収入の約8割をいかに有効に使うかを考えることが大切です。

次に、将来的な見通しを立てることができます。
現在は独身でも、将来的に結婚や出産をすれば、世帯員の構成や収入は変わってくるはずです。また、結婚を選ばない場合でも、収入が上がったり、親と同居することになったりすればそれらは変わってきます。
もちろん、47歳になったからといってこの平均データ通りの生活をするわけではありませんが、これを参考にして何歳になったときに何円ぐらいの収入を見込み、どのようにそれを使いたいか考えることはできます。それを考えることで、自分がどのような未来を描きたいか、具体的にイメージすることも出来るでしょう。
堅実に考えることも大切ですが、ワクワクしながら人生設計をすることも大切だと思います。

具体的に目標が立てられたら、先ほどの『家計簿からみたファミリーライフ』「1. 家計の収入と支出」で見た支出の内訳と、あなたの目標の支出の内訳と現在のあなた自身の支出の内訳とを是非比べてみてください。
車のローンや奨学金返済といったものは、生活費以外の支出として数えてみましょう。
住居費の割合や交通・通信費の割合といったものは、特に重要です。それらは毎月殆ど変動しないからです。これらと、先ほどのローンの返済などは、一般的に固定支出と呼ばれます。節約には、支出の中の固定支出を減らすことが大切とも言われます。

でも節約するためにはまず、目標を立てること、現状を知ること、の2つが大切です。
あまり悲観的にならず、明るい気持ちで支出を見てみてくださいね。

そして、現状をどう変えていけば目標に近づくか考えてみましょう。

この時、保険料などが十分かどうかを見直したり、固定支出の中にローンがあれば、それがいつ終わるか、繰り越して返せそうかを考えたりしてもいいと思います。
そして、返せそうだけれど組んでいるのが固定金利のローンの場合、繰り越し返済したつもりで少しずつ貯金するのがおすすめです。

それからインターネット回線料やスマホ料金などの通信費やテレビ回線料がどのくらいかも見てみましょう。これらは、近年支出に占める割合が大きくなっている項目で、さらに今後変化する可能性が高いからです。

「2. 最近の特徴から」を読む

さて、『家計簿からみたファミリーライフ』「第1章 最近の家計収支」に戻りましょう。
次の項目は「2. 最近の特徴から」と題され、「消費水準の推移」、「震災発生後のミネラルウォーターの支出の増加」、「地上デジタル放送への移行などによる影響」という3つの話題から成っています。

最初のトピックには、「平成23年の消費水準は昭和45年の1.3倍」という小見出しが付けられ、1970年(昭和45年)から2011年(平成23年)までの「消費水準指数」の推移を表したグラフが載せられています。
見出しにあるように、40年前と比べれば、生活水準は上がったと言えます。
しかし、バブル経済が崩壊した後は、景気の良かった時はほとんどなかったと言っても良いのではないでしょうか。

次のトピック「震災発生後のミネラルウォーターの支出」では、一部の浄水場で浄水(水道水)から乳幼児の摂取基準を超える放射性物質が検出されたことなどにより,ミネラルウォーターがまとめ買いされたことが記されています。

3つめのトピックは、「地上デジタル放送への移行などによる影響」です。
地上アナログ放送の終了と地上デジタル放送への完全移行とにより、デジタル放送に対応したテレビの買換え需要が一巡し、平成23年8月以降は,テレビの購入数量が減少していることが書かれています。

「2. 最近の特徴から」の3つの話題からわかるのは、私たちが高度資本主義経済の中で、生きていること、地震大国に生きていることを忘れずに家計を考える必要があるということです。

長いスパンで経済的な生活を考える

高度資本主義経済の只中で生きている私たちにとって必要なことは、今あるシステムが次のシステムに移行する可能性を常に頭に入れておくことでしょう。

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たとえば現在飲んでいるミネラルウォーターが、永続的に供給されるとは限りません。
現在の節約だけを考えれば、手に入るなかで最も安いミネラルウォーターを購入すれば良いのですが、長いスパンで経済的かつ安全においしい水を手に入れようとするなら、濾過装置についての学習と活用、水を汚さない工夫といったものが、必ず必要となります。
誰かが汚した水は、あるいはあなたが汚した水は、全員のところに還ってくるからです。
そして、安全でおいしい水を手に入れるのにかける金額として、どのくらいが高くてどのくらいが安いかは個々人の価値観によりますので、自分の支出の中で「水」にかけている割合がどのくらいか、それについて満足しているかを考えてみるのも良いでしょう。

また、現在多くの世帯で視聴されているテレビ番組ですが、NHKの受信料を始め、BS,
CS、ケーブルテレビといった衛星放送の料金は多くの人にとって固定支出の1部です。
デジタル放送への移行時も、テレビを観ないという選択か、テレビを買い替えるという選択に迫られ、後者を選んだ人は多かったでしょう。
しかも、その配信の枠組みは今また大きく変わろうとしています。スマートテレビが台頭し、人々は好きな時に好きな番組をWeb上で検索し、観ることが出来るようになりつつあります。でもそのためには、新しいシステムと機器を使いこなさなければなりません。
それが自分にとってどのくらい価値の高いことか、今から乗り換えたほうがいいのかなど、検討してみましょう。この時、テレビだけではなくスマートフォンやPC、タブレットの使い方も考えてみてください。機器間連携やコンテンツの可搬性があなた自身にとってどのくらい必要か考えれば、すぐにそうした環境に移行すべきか、今までに投資したもので暫くやっていくか決める手助けになります。
そうした検討なしに、有益な節約は難しいでしょう。

人間の生活の根幹はもちろん衣食住であり、そのことは今後も変わらないということは確かです。だから、住居費、食糧費、被服費にかかるお金は、節約は出来てもなくなりはしません。
それに加えて、現代人に欠かせないものが「情報」です。情報の価値は益々高くなってきていますが、物理的に命に関わるものではありません。
節約を始める前に、まずそれらの理想的なバランスを思い描いてみてください。
自分にとっての、お金をかけるべき優先順位を知るということです。
そして、景気や消費水準が上がったら、横ばいだったら、下がったらといった想定をしておくのもお勧めです。

さらに、日本は地震国ですから、いつどこで大地震が起こってもおかしくはありません。自分が被災したときに備えておくのは大切なことですが、被災した人たちにいつでも手を差し伸べられる心の準備をしておくことはもっと大切です。

データ出典:総務省「家計調査」『家計簿からみたファミリーライフ』

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