はじめに
寒い冬の風物詩、こたつ。
冬がやってくると、その布団に包まれた暖かい空間に、誰しもが心を惹かれるのではないでしょうか。
みかんを食べながらこたつで暖をとり、気が付いたら寝てしまっている…。
それもまた冬の風物詩であり、今もこたつの暖かさを感じている人はいると思います。
そんな魅惑のこたつですが、魅力の裏に存在する意外なデメリットについて、あなたは意識したことがあるでしょうか。
まずはメリットから
言わずと知れた数多くのこたつの魅力。
経済面にも身体面にも、思わぬ利益を与えるようです。
1.冷え性の人に最適!
頭寒足熱という言葉をご存知でしょうか。
頭部を冷たく冷やし、足部を暖めることが健康に良いことから生まれた言葉です。
クーラーやヒーターを用いると、どうしても全身が暖まってしまいます。
しかし、こたつを使うと、頭部は暖めず足部と手先だけを暖めることが可能ですね。
2.光熱費を抑えます!
前述した頭寒足熱が実現されることにより、室内の気温が気にならなくなります。
そのためエアコンやヒーターの使用を控えることになるのです。
また、省エネ基準をクリアした最新エアコンでも、6~8畳程度のお部屋を温め続けるとなると、1時間で400Wh以上の電気を消費します。
それに対しコタツの平均消費電力量は200Wh以下。
電気代を22円/kWhで計算すると、エアコンの1時間8.8円以上に対しコタツは1時間4.4円以下!
3.空気が汚れません!
部屋全体を暖めてしまう暖房器具を用いると、熱気を含んだ空気が部屋にこもってしまいます。
それに比べて、こたつが暖めるのは机の下の限られた空間のみ。
暖める空間も小さいので、省エネにもつながります。
4.みんなであたたか!
やはり大きなメリットはこれでしょう!
家族や友達と、1つの卓を囲んで暖かいお鍋。
身体は暖房とお鍋で温まりますし、みんなとの距離も縮まって心も暖かくなりますね。
こたつを使うと、自ずとみんなの距離が近くなる。
意外なデメリットとは…?
今までは、こたつのメリットについてまとめました。
ここでは一度、デメリットについても確認しておきましょう。
暖かいこたつも、一歩間違えれば様々な悪影響を及ぼします。
とはいえ、それはほんの僅かなことに気を配れば、心配をする必要はありません。
1.脱水症状
不感蒸泄という言葉をご存知でしょうか。
これは、私達が感じることなく、気道や皮膚から蒸散する水分を発していることを表した言葉です。
そして冬の気温が低い時にも、不感蒸泄は絶えず行われています。
驚くべきはその排出量です。
健康な人でも、その量は一日約1Lほど。
そしてそれは、体温が1度上がるごとに、15~20%増加するといわれています。
こたつにずっと入っていると、一体どうなるでしょうか。
こたつ内の気温と体温が、両方同時に上昇することになるので、不感蒸泄の量はかなり増加します。
これが脱水症状に繋がるというわけです。
脱水だけでも人間は倦怠感や眠気を感じ、放置すれば死に至ることもあります。
もちろん、こたつ程度ならその前に水分をとろうとするでしょうが、その際はただの水ではなく、お茶やスポーツドリンクをおすすめします。
実際に、こたつ寝による脱水症状で病院に搬送された例も多く存在します。
2.便秘
こたつ寝により、身体が水を失えば、当然どこかから補おうとします。
沢山の水を含んでおり、それでいて人体に要らないもの…それは便。
水分は小腸や大腸から再吸収されますが、からだに水分が不足していれば、再吸収の量は増えます。
必然的に便は水分を失い、便秘気味に。
こたつでウトウトしているうちに、腸のなかでは便のカチカチ化が進行しているというわけです。
3.脳梗塞
こたつの脱水症状は、血管からも水分を奪います。
つまり、血液の粘性が増加し、どろどろになるのです。
どろどろになった血液のなかでは、ふだん怪我をしたときなどに血を止める血小板の働きが裏目に出て、必要もないのに塊りを作ってしまいます。
それは、いわゆる“血栓”というもの。
この血栓が脳に飛べば脳梗塞、心臓に飛べば心筋梗塞、肺の血管に飛べば肺塞栓症と、死に至る恐ろしい病気の原因になります。
4.不眠
一度、普通の布団で眠る場合について考えてみましょう。
人間の身体は、寝ているときは熱を放出し、体温を下げるように働いています。
その放出された熱は布団の中に残り、自分の体温は下がります。
すると、相対的にからだはとても暖かいと感じるようになるわけです。
これは人間の生理的なメカニズムであり、人間は無意識でこの状態に慣れています。
ということは、体温以上に暖かいこたつで寝てしまうと、睡眠のリズムが狂ってしまうことになりかねないのです。
また、布団なら暑くなって這いだすことができても、こたつではそうもいきません。
喉が渇いて目を覚ましやすくなることもあり得ます。
つまり、こたつで寝ると眠りの質が下がる、ということです。
すごく気持ちよく感じられるこたつ寝ですが、実はぐっすり眠れているわけではないのですね。
5.腰痛
こたつで目が覚めたら、“腰が痛い!”という経験はありませんか?
長時間おなじ姿勢でいることは腰痛の原因になります。
特に、こたつの敷マットはそう分厚くはありません。
また、座いすなどは不自然な姿勢になりがちなので、ますます腰痛の発症率は上昇してしまうのです。
おわりに
あまり認知されていない、こたつのメリット・デメリットについてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
エアコンや床暖房の普及により、一時は販売数の減少が続いていたこたつ。
しかし、3.11以降の節電意識の高まりにより、販売数は増加しています。
こたつを使うことで、快適な時間を過ごすことは可能ですが、やはりそれは適切な使用法があってこそのもの。